たくさん悩んで新昭和

ウィザースホームで新築(2013年12月完成)しました。家づくりのことたくさん書いてます。

安く建てたい人ほど疑心暗鬼になる

1月の記事のコメントの中に「家の価格は高すぎる」「もっと安くして高品質になるべき」という内容を頂きました。以前はちばっしーも同じ考えだったのでよく理解出来るんですが、最初の頃は誰しも家の価格が分からないわけです。家の価格はパッと見は大金ですが、細かく分類していくと適正価格というか激安価格の集合体なんだよね、というお話しです。

 

最初は金額の大きさだけに惑わされる

例えば家を建てた経験のある人なら35坪の総額が1,500万円と聞くと「そりゃ安いねー!」と即答出来るんですが、初めての人には1,500万円あったら海外旅行が何回行けるとか、車なら何が買えそうとか、牛丼なら何杯食えそうとか、身近なものに変換してみるものの全くチンプンカンプンなレベルの金額なわけです。

やっかいなのは金額の大きさに慣れないところ。電化製品ならハイグレードが10万円、中くらいが7万円、あやしい輸入品が4万円とすると色々悩めるんですが、家となると2,000万円、1,700万円、1,500万円と比較しても最低価格が凄すぎて戦意喪失という感じです。

 

妄想から疑心暗鬼は生まれる

家を安く建てたいと思う人が一番ハマりやすいパターンは「500万円で家が建つ!」とか「全て込み込み1,000万円!」とかに釣られて見積もってもらったら総額1,500万円と言われて「ふざけんな!ボッタくりHMめ!」というケース。

家のことを理解してくると上記の価格はボッタくりでも何でもないわけです。中身が空っぽの建物だけなら500万円も可能だし、付帯工事込み1,000万円も言葉の意味としては間違ってないと思います。そもそも昔は建物は大工さんへ、設備工事は電気屋さんへ、窓はサッシ屋さんへという風に別々に注文していたことを考えれば、たいていオールインワンと言えそうです。

でも初めての施主は本体価格の他に4~500万円(付帯工事や諸経費)上乗せされることを知らないので「この不透明な部分はHMの利益か?」とか「ボッタくり?」という思い込みをしやすく、「交渉次第ではこの分値引きしてくれるかもしれない」なんて妄想しても、そもそもHMが業者や役所へ支払うお金なので値引きするしないの類いじゃないわけです。コンビニで買い物するときに「消費税サービスしてくれ」と言ってるようなものです。

 

まずは適正価格に慣れよう

発展途上国の人が日本の物価に驚き「500円あったら1ヶ月生活出来る」と文句を言っても、こればっかりはしょうがないわけです。この国で500円で生活するとなると1日16円(500円/30日)というか、食べ物ならモヤシぐらいしか食えないことを理解してもらわないとなりません。お腹が満たされつつ安全なところに住むとなると数万円かかるわけですが、家も似たようなものです。

「なぜ500万円で家が建たないの?」というと、賃貸で一戸建ての家を借りた場合1ヶ月家賃15万円☓20年ほど住めば累計3,000万円近く払います。ここから土地代と修繕費を引いた金額がザックリとした新築工事代になるわけで、どんなに安くても500万円はあり得ないということになります。

 

そもそもHMは安く売りたがっている

施主からすると「HMはオプションをたくさん付けて利益を上げたがる」と考えやすいんですが、本当は逆だと思います。ほとんどの施主は数社比較しながら交渉しているので、HM側からするとライバル社に負けたくないわけです。「なるべくオプション増やしてほしくないなー」とか「この辺で満足してくれないかなー」とヒヤヒヤしながら商談してるはずです。最終的な決定打が金額になることが多いので、施主の満足が得られつつ金額を抑えたいというのが本音だと思います。

ただし契約後では話しは変わってきます。契約金さえ振り込まれてしまえばこの「ライバル社に負けなくない」という願望が少し変化します。この部分は色々トラブルもあるみたいなので後でまとめてみようと思います。

 

施主は無意識のうちに豪華にしたがる

ローコストHMで見積もりしてもらった人なら分かると思うんですが、すごく安いところはキッチンのカップボードとか風呂の断熱材とか、たいていセットになるべきものが入っていません。せっかく新築するんだったら色が統一されたキッチンにしたいし、時間がたっても冷めない浴槽とか、機能性のあるクロスにしたいとか、どんどん追加していきたくなるものです。

追加しまくったら結局は中堅HMレベルの価格に跳ね上がり、そこで初めて中堅HMが高くないことを知るという人、結構多いと思います。

 

品質が同じなら全て金額は一緒になる

ローコストHMの家、中堅HMの付加価値のある家、大手HMの高級な家はどれも適正な価格です。ローコストでも安いところのキッチンや風呂はそれなりだし、ローコストの中でも+100万円高いところは豪華なキッチンや風呂になっています。中堅HMになれば外壁が総タイルになるし、大手HMでは全館空調とか鉄骨とかになります。

初心者が陥りやすいのは「仕様を豪華にしつつ安く出来ないか」という淡い期待です。どこを探しても絶対見つけることは出来ないというか、仮に見つけたとしてもそれは素人に毛の生えたレベルの人(工賃激安)が工事することになるかもしれないということ。まずは適正価格に慣れることが一番の近道だと思います。

 

ボッタくりしているHMなんて存在しない

この長~いデフレを生き残ってきたHMにはボッタくりしてるところは無いというか、そんなことしていたらとっくに潰れてます。総額で見ると1,500万円という大金に見えますが、それぞれ細かく分類していくと設備ひとつひとつが激安で、いかにしてライバル社に差を付けられるかという熾烈な生存競争しています。

バブルの頃は需要が高かったので甘かったかもしれませんが、今これだけ情報公開された環境ではヘタなこと出来ないというか、今どき欲しいモノがあったら誰でもネットで適正価格を調べてると思います。

ボッタリという訳ではありませんが、ひとつ割高に感じるのは設計事務所ですね。HMと違って設備を個別に仕入れるので定価に近いところが多いです。これはオリジナリティを発揮する分、大量仕入れの恩恵がないだけなんですが、家の材料や設備トータルで見ると結構UPするような気がします。

 

疑心暗鬼は百害あって一利なし

PTAの集まりとかで不思議に思うんですが、たまに先生へどうでもいいツッコミを入れたり詰め寄る親がいます。ときには「先生に言ってやったわよー」と自慢して「○○ちゃんのママ偉い!」とか持てはやされるのを見てゲンナリしたもんですが、そもそも最初から先生を信用してないというか、疑心暗鬼になってるんだろうと思います。

ちばっしーが小さかったときの先生方はもっと酷かったですね。友だちが悪いのに勘違いされてビンタされたり、親に言ったところで「勘違いされるオマエが悪い」と決めつけられて終了です。あの頃に比べたら今の先生は真面目だし仕事量も多くて色んな目にさらされて大変というか、たぶんこの世で一番シンドイ職業かも。

家も似たようなものです。子供を先生に託すように大金をHMへ託すんだろうと思います。でも警戒心丸出しで挑みかかっていては無駄な時間だけが過ぎていくし、優柔不断な性格をHMのせいにしても始まらないです。施主の仕事は「予算内でどんな家にするか」というとても大きな仕事をするだけです。その為にも営業マンと協力しながらいくかのステージを乗り越えないといけないので、疑心暗鬼になってる時間は正直モッタイナイです。