知らないと大損しそうな屋根形状(屋根デザイン)
新築する人のほとんどは切妻や寄棟や片流れという一般的な屋根形状になると思います。何も希望するデザインがなければ、HMや設計士さんは雨漏りリスクの低いデザインにしてくれるからなんですが、稀に天窓(トップライト)入れたり複雑なデザインやキューブ状の陸屋根を希望する人もいたりします。
実はちばっしーも箱型の家がカッコいいと思っていたので最初の希望では陸屋根一択でした。その後色々勉強した結果あまりにリスクが大きい事を知り、切妻へ変更してさらに太陽光パネルを上乗せすべく片流れになったという経緯があります。
無知な頃に調べていた屋根ネタなんですが、これから新築する人の参考になるかもしれないと思いまとめてみました。
どんな屋根形状でも雨漏りリスクはある
たぶん軒の長い切妻屋根が最強だと思いますが、軒は上からの雨には強いですが下からの突風には弱かったりします。風雨は横からも下からも吹くので100%防ぐのは難しいですが、それでも一番多いのは上からシトシト降ってくる雨ですね。
山間部で風が一定の方向で吹いてる地域とか、竜巻が発生しやすい地域なんかは片流れや招き屋根にして風の抜け道を用意してあげると、家のダメージ軽減につながるみたいです。住んでる地域によって理想的な屋根デザインがあると思いますが、どれも一番可能性の高いリスクに対してどこを重点的に防御するの?ということになると思います。
ちなみに「天井から雨漏りしてる」という状態は結構な被害まで進んでいるケースが多く、隙間を補修すればOK的なレベルではなさそうです。浸水すれば簡単には乾かないし腐食しているところは全て交換しないと解決出来ません。ある程度の時間とお金は覚悟しなければならず、本来そうならないよう雨漏りしにくい屋根形状と点検が全てだろうと思います。
素材の防水技術が発達したから大丈夫?
たとえば陸屋根の賛否を見ていると「リスク大きいからやめたほうがいい」VS「防水技術が発達したから大丈夫」という構図になったりします。天窓も一緒ですね。たしかに防水技術の進化は目を見張るものがありますが、防水層の素材がどんなに進化しても最大の問題は部材と部材のつなぎ目にあると思っています。雨漏りトラブルを調べても防水層が突き破られたというより、防水層の端と建物のつなぎ目に小さな隙間が・・とか、コーキングにヒビが・・いうオチが圧倒的に多いです。
下の画像は天窓本体と施工方法には全く問題はありませんが、瓦と接着してる鉛のシート部分に小さな穴が開いてます ↓
針の穴ほどの大きさでも水が溜まる箇所ならダダ漏れですね ↓
あなどれない風化の脅威
主に紫外線や風雨や小さな地震です。新築時には無問題でも紫外線によって塗膜の劣化を招き、素材の柔軟性も失われます。さらに風雨によって埃や砂などの汚れが溜まって部材が浮いてきたり、地震によって追従出来ない素材はひび割れを起こしたりします。
下の画像は端部に粉じんが詰まり水はけが悪くなって雨漏りしたケース ↓
こちらは谷の銅板に穴が開き雨漏りするケース ↓
画像は福岡県の宮原窯業さんから拝借してます。Q&Aでは色々勉強出来て面白いです。
これらのリスクに備えるには紫外線に強く簡単に歪んだり浮かない素材はもちろん、地震に追従しやすい素材ということになります。何より汚れが蓄積されないシンプルな構造と勾配は非常に重要になってきますね。こうして見ると、なぜ瓦屋根の切妻や寄棟が多く採用されているのかは自然と見えてくるわけです。
勾配の重要さに気づくまで
無知な頃は「勾配が緩いと雨漏りしやすい」と言われてもピンと来ませんでした。雨水は低いところへ流れるはずで「勾配が緩いぐらいで何で雨漏りしやすいの?」と思っていたわけです。要は粉塵ですね。風で運ばれてきた砂埃や落ち葉が屋根材の隙間や端部に蓄積されていき、雨で流されなければ腐敗して泥状になって留まる可能性があります。
下の画像は陸屋根なんですが角に落ち葉らしきゴミが溜まってます ↓
そもそも大昔から「勾配」という汚れが蓄積されないセルフクリーニング機能があったんですが、最近は防水技術に過信して風化の脅威に甘くなってるようにも思えます。たぶんシミュレーションでは何十年もの雨にも耐える、という結果かもしれませんが、実は黄砂や花粉とか、最近話題の火山灰とか、それぞれが細かい粒子でも何十年単位で見れば結構侮れないんじゃないの?とか思ったりするわけです。
はたして防水技術が自然の力を超えることが出来るのか、それとも先人の知恵を借りて自然に逆らわない構造にするのか・・この問いかけの結果、ちばっしーは箱型の家を諦めました。
大地震によるダメージを考慮しておく
これからのご時世はある程度大きな地震は覚悟しなければならず、何回経験するか分かりませんがその都度建物のダメージは蓄積していくと思います。大きな揺れの中では基礎、躯体、壁、屋根それぞれがきしみ合い、微妙に離れたりくっ付いたりすると思いますが、屋根さえ隙間が開かなければ重大な問題にはならないと思います。
例えば1本の大きい傘が揺れるだけならノンダメージですが、小さい傘を多く備えていればそれぞれのつなぎ目に隙間が開く可能性があるかもね、ということ。陸屋根の場合は外壁に隙間が出来ると雨を防ぐ手立てが無くなります。
ちなみに鉄筋コンクリートビルのほとんどは陸屋根です。なぜ木造になるとこんなにも騒がれるかというと「ビルに比べて揺れる」からですね。経年劣化した防水層が大きな揺れに追従出来ず破断するかもしれないし、部材と部材に隙間が出来るかもしれないわけです。
備えるべく自然の驚異が「真上から降ってくるシトシト雨」だけなら、たぶんどんな屋根でも問題ないと思います。大きな地震、舞い上がる砂埃、暴風雨等、これらのリスクをどこまで想定出来るか、ということだと思います。
なかなか見かけない複雑な形状の屋根 ↓
こちらは谷の雨仕舞から浸水しやすそう ↓
全てオールアバウトからの画像です
家のデザインは支出に直結
理想は瓦屋根で水はけが良く風に強いデザインなんですが、そうなると良く見かける屋根というか、面白みのないデザインになると思います。なので個人的にアピールできるところは壁の材質や窓になりますね。
今どきの技術を駆使すれば簡単には雨漏りしないと思いますが、個性的でカッコいい家はメンテ費用が高くなると思っていた方が良いです。この辺を充分予測してる人なら問題ないんですが、修繕費抑えたいなーという人には注意が必要です。一番危険なのは「デザインは特にこだわらないけど何となく陸屋根」という人。10年目以降に思いもよらない修繕費用にビックリするかもしれません。
どうしても陸屋根や複雑な屋根デザインにしたいという人はリスクをよくよく考慮してほしいと思いますが、個人的にアドバイスするとしたら「家のデザインはいずれ慣れる」ということ。
新築したときの喜びは年々減っていきます。代わりに浮上してくるのはリアルなお金(家具家電の買換えや修繕費)の問題になるので、ここはひとつ慎重に判断してほしいと思っています。
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2019.6.23追記
屋根形状をシンプルにすると、その中の小屋裏を収納部屋として使えるようになります。新築してから5年後に小屋裏をリフォームしました ↓