なぜローコストHMはクレームが多いのか
安すぎるローコストメーカーはリスクが高いというお話しです。
HM回りする前は価格の違いが何に影響しているのか分かりませんでした。どうせ建てるなら「安いに越したことはない」と思っていたので、ローコストメーカーの中でも特に安いグループを中心に見て回りました。途中ちばっしーの最優先が「タイル外壁」になったので新昭和という流れになったんですが、当時参考にしていた建築中のブログだけは見回っていました。
で、結局のところ皆さん悲惨な結末になってる方が多いです。
新築後に雨漏りや床下の水漏れ、現在1年かけて補修工事していてHM側を訴えそうになってる人もいます。ほとんど職人の施工不良とHM側のチェック不足が原因なんですが、なぜそうしたことが起きるのか自分なりにまとめてみようと思います。
施工不良の事例
サッシ周りからの浸水
サッシ上部の水が溜まりやすい部分の下地に、ビスの打ち直した穴が開いたまま放置されていて、さらに防水シートが貼ってない+外壁コーキング不良が重なったためにおきたトラブル。
天井や壁の至る所に亀裂
原因は石膏ボードが固定されておらず浮き出てきた為。本来石膏ボードを貼りつける際、下地部分に固定していかなきゃならないのになぜか中空部分にビスが貫通していたとの事。 さらに部分的に下地も入っていなかった様子。
どちらも信じられないトラブルですが、これらはほんの一例です。
ローコストになるほどクロスの施工は雑なところが多いような気がします。気になるHMがあったら完成見学会とかでクロスの仕上がり要チェックですね。トラブル事例の多くは下地のパテ処理が雑なために凸凹が出来たり、クロスのカット位置がずれていたり、接着が不十分で剥がれていたりします。
職人のクオリティが最も大切
一般的に職人の手当は1坪単価がベースになっていて、1棟当たりの総額で契約しています。基本的に早く建てても遅く建てても金額が変わらないようになっています。1棟の総額を安くすれば自ずと職人の手当も安くなるんですが、工期を短くすることによって世間的な相場に近づけるようです。
こうした無理な条件では、経験豊富なベテラン職人は集まりにくいですね。ローコストの中でも特に安いグループは、経験の浅い職人が短い工期で作業しているかもしれません。
工期が短いリスク
ローコストHMの現場監督は忙しいです。人件費を抑えるために少ない人員で多くの棟数を見て回ります。ほんとは逆なんですけどね。
現場の施工が雑な場合でも現場監督がチェックすれば修正することも出来るんですが、このチェックが物理的に出来ていません。施主のブログを読んでいると「現場監督に会いたくても会えない」という人が多いです。
現場もチェックされる回数が少ないとなれば、丁寧に仕事するより早く終わらせて次の現場へ行ったほうが得!と思えてくるかもしれません。
施主の思いが伝わらない理由
施主からすると「プロなんだからちゃんとやって!」となりますが、そもそもプロとしての収入に見合ってないのかもしれません。自分に置き換えてイメージすると、給料大きく減らされながら一流を求められてるようなものかと。
施主が死に物狂いで準備した数千万円は、結局のところHMの宣伝費に吸い取られて現場へは届いてないのかも。
契約後の担当営業マンの態度
利益率の低いHMほどたくさん売らないとならないので、営業マンのノルマも高いです。もし自分が同じような環境なら、契約出来そうなお客さんを大切にすると思います。契約してもらって契約金が振り込まれたら、次に契約出来そうなお客さんをターゲットに・・という流れですね。
でもターゲットから外れた施主からすると「態度が変わった」とか「まるで売り逃げ」という風に映るかもしれません。本来全てのお客さん(特に契約後の施主)を大切にしていかなきゃならないんですが、高いノルマに苦しむ営業マンほど態度は豹変するかも。
注文住宅の適正な最低価格は?
ちばっしーが考える適正価格は施工35坪で1,500万円以上です。自分の足で20社以上回って導き出した価格帯ですね。内訳は本体工事1200万円+その他300万円という感じで、合計額の坪単価が50万円以上あれば適正に分配されてるかなーと思えてきます。
これが1,300万円とかでは異常すぎるような気がしますね。普通の家は35坪で1,500~1,700万円ぐらいします。例えば仕様が同レベルなのに200万円以上もの差になれば「部材一括仕入れでコストダウン」等では補えないと思えてきます。
価格重視で選ぶ場合はあまり宣伝していない地元の工務店とかが望ましいです。
まとめ
これは確率の話しなので、価格によって必ず欠陥住宅になるという話しではありません。価格の高いHMでも施工リスクはあるし、安いHMでもすばらしい職人さんと出会えてる人もいます。
これから家づくりを検討される人には見えにくい部分になると思いますが、一定の価格水準は有能な職人を確保する上で必要なことだし、現場監督や営業マンと接する時間にも影響してくると思っています。